2014/06/05

精神疾患の病名変更から考える言葉狩り

ちびくろサンボという童話をご存じですか?
トラがバターになる,あの有名な童話です。

わたしは読んだことがない世代なのですが,この書籍が回収された理由の一つが「人種差別を助長しかねない」というものです。
似たような例としては,差別用語として認識されかねない単語が日本語変換ソフトの変換候補に挙がらなくなりました。
具体的な単語を書くことは控えますが,やはり同じ理由です。

一部の識者はこれを言葉狩りと呼んで嫌います。

障害を「障がい」と,文字をひらくなど行き過ぎの感がありましたが,精神疾患の名称についても変化が生じました。

精神疾患:病名に新指針 パニック障害は「パニック症」 - 毎日新聞 -
http://mainichi.jp/select/news/20140529k0000e040241000c.html

注意欠陥多動性障害(ADHD)が「注意欠如・多動症」,パニック障害は「パニック症」,拒食症は「神経性やせ症」,学習障害は「学習症」,アルコール依存症は「アルコール使用障害」,性同一性障害は「性別違和」だそうです。
「障害」という言葉を排除しようというのに「アルコール使用障害」とは……まったく筋の通らない話だと思います。

言葉は難しいものです。
精神疾患の場合は完治と呼ばず「寛解」と呼ぶことからも,一般的な疾患と認識が違って当然なんですよ。
表現を変えるような小手先の対処では,いつまでたっても中身が伴わず,一般の理解も深まらないと思うのはわたしだけでしょうかσ(^◇^;)

†††

ニュース記事はすぐに消えてしまうので,転載しておきます。
性同一性障害は「性別違和」に、パニック障害は「パニック症」に言い換えを−−。日本精神神経学会は28日、精神疾患の病名に関する新しい指針を発表した。本人や家族の差別感や不快感を減らすとともに、分かりやすい表現を用いて認知度を高めるのが目的だ。学会は今後、医療現場などに新指針による病名を用いるよう呼び掛けていく。
 米国の新診断基準「DSM−5」が昨年策定されたのを契機に、関連学会が表現を検討した。主な変更点として、患者や家族に配慮して「障害」を「症」に言い換えた。「障害」の表現が、症状が回復しないとの誤解を与えるためだ。
 物事に集中できないなどの症状がある注意欠陥多動性障害(ADHD)は「注意欠如・多動症」に、急に動悸(どうき)などに襲われるパニック障害は「パニック症」、拒食症も「神経性やせ症」、読み書きなどが難しい学習障害は「学習症」に変更した。
 身体的な性別と、心理的な性別が一致せず、強い違和感に苦しむ性同一性障害では「障害」との表現に、患者の間で異論が多いことに配慮した。

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