2014/01/25

桶川ストーカー殺人事件 -遺言-

著者の新刊をネットで知って興味を持ち,Kindleストアで購入可能な本書を読みました。

本書は,写真週刊誌の一記者が黒幕の背後にある実行犯組織にたどり着くまでの過程と,その流れの中で見え隠れしていた警察の不祥事に主軸をおいた内容です。
警察という組織だけにとどまらない,おそらく国家レベルの部分に問題の根があることを本書は鋭く指摘しています。

筆者は真の黒幕に,こう呼びかけています。
今,事件の陰でやれやれと胸を撫で下ろしているそいつ。どんなに時間がかかっても,いつか必ず,そいつを表に引っ張り出す。心あたりがあるなら覚えていて欲しい。
ずっと日本で生活している方には小説でしか読んだことのない,耳を疑う内容も書かれています。
しかし本書に書かれている内容は,まぎれもなく日本で起きたことなのです。
事件を取材する側から当事者へと意識が移り変わっていく様子は圧巻で,読者を引き込むノンフィクション作品です。

当時のわたしは国内にいなかったので知らないのですが,センセーショナルに報道されたようですね。
事件の概要はWikipediaにも載っています。
まぁ。。想像どおり,最悪な読後感です。
爽やかな本を読みたい方は読んではいけません (笑)

* 左から1) Kindle版,2) 文庫版, 3) 新刊 です


メディアによって形成される「世論」の恐ろしさ
を改めて実感しました。

実際,人ひとりを社会的に殺めるのは容易なのです
それは命を奪われるより辛いことでしょう。
手が後ろに回る覚悟と手段を選ばなければ,やりようはいくらでもあります。
事実無根の冤罪(痴漢などですね)をでっち上げればいいんですから。

あの。。絶対に実行してはいけませんよ σ(^_^;)
真っ向勝負を挑むなら,証拠を揃えた上で,然るべきところに恭しく差し出しましょう (^_^)b
会社でパワハラやセクハラを行っている方々,くれぐれもご用心を (笑)

話が逸れました。。
殺人やストーカーに発展しなくても,桶川のような事例は日常にありふれています。
先入観やバイアスによって歪められた認知から派生した差別は絶えません。
認知とは無意識に操作されるのです。実例を挙げましょう。

好きなブランドと敬遠してしまうブランド
好きな人と苦手な人
好きな国と苦手な国

。。ざっと挙げてみました。
自分の経験から判断することもありますが,人からの見聞に影響されている部分がありませんか?
関連する情報すべてを知っているわけではないのに,一部の情報に基づいて物事が決まることもあります。

以下がバイアス操作の常套手段です。
半分だけの真実を開示して,悪意ある(または意図のある)嘘やエピソードを織り交ぜるのです。
(もちろん織り交ぜるエピソードが事実であることも少なくありません)
操作されたエピソードを聴く人は先入観を植え付けられます。
そして歪んだ先入観は誤解に発展し,差別が連鎖的に広がります。
精神的苦痛が伴うのは,一連のバイアス操作に悪意が伴い対象が特定のグループの人に向けられる場合です。

断っておきますが,バイアス操作自体は悪いことではないのですよ。
ブランドイメージを構築する上で,様々な企業が繰り広げる広告にも使われる手法です。
日本では一般的ではありませんが,他社製品との比較をするCMが同じパターンですね。

そこに自分の思考が介在しないことがとても危険なのです。
Twitterなど,情報が拡散されやすいメディアも多々あります。
見聞きしたことを左から右に垂れ流すことは簡単です。
意識しないまま操作されたエピソードを拡散することになりかねません。

送信ボタンを押す前に,少し考えましょう。
それは本当に自分の考えなのでしょうか?
人の考えや意図的に操作された認知を,あたかも自分の考えと錯覚していませんか?
その情報が誰かを傷つけることはありませんか?
簡単にネットで情報が得られる現代だからこそ,賢く用いていきたいですね。

だいぶ話が逸れましたが,興味のある方は一読なさってください。


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