2014/01/09

中小企業の問題点とブラック経営者の脱税疑惑 (労災隠し編)

話題を元に戻しましょう。
つか,タイトルが「○○隠し編」って「ひぐらしの○く頃に」っぽいですね (笑)

O社長のブラック経営者としての側面を浮き彫りにする事例です。

従業員の一人が通勤中に怪我をしました。
ところが怪我をした従業員にO社長はこう言い放ちます。

「手続きが面倒だから通勤中の怪我だって言わないでよ!」

怪我をした従業員は後ろめたさもあるのか,言われるがままだったそうです。

はっきり書きます。
これは労働者災害補償保険法(通称「労災保険法」)に違反する行為です。
(正社員,アルバイトに関わらず) 雇用関係が発生する事業主すべてに加入する義務がある保険制度です。

雇用者は,業務時間中に発生した災害や事故の治療費を全額負担する義務があります
もちろん通勤中の事故にも適用されます。
「手続きが面倒」などという理由で拒否することはできません。
いわゆる「労災隠し」と呼ばれる事例のひとつです。

1) 保険料が上がる,2) 会社としての管理体制を問われる,3) 保険料のごまかし
。。といった理由で労災認定をしない経営者がいるようです。
このケースは通勤中の怪我なので,一つ目と二つ目の点は考慮に含まれません。
そうすると残る理由は,3) 保険料のごまかし です。

どのように労災保険料をごまかすのでしょうか?
1) 労災保険そのものに加入していない
2) 確定賃金額について虚偽の申告をしている
3) 従業員数について虚偽の申告をしている
。。ざっと挙げると,こんなところでしょう。

1) 労災保険そのものに加入していない
先にも書いたように,労災保険への加入は雇用者の義務です。
O社長は自分が誰よりかわいい思考パターンの人間です。
バレたら一発アウトの危険性もあるので,この可能性は薄いでしょう。

2) 確定賃金額について虚偽の申告をしている
労働保険料の算出根拠となる確定賃金額は事業主の自己申告制となっています。
申告する確定賃金額に応じて保険料の支払額も変わってきます。
O社長は給与明細の交付を頑として行わない誠意のない人間です。
パートさんの時給も「だいたい800円くらい」と言ういい加減な人間です。
そもそも給与計算自体が不明瞭で信頼できないレベルです。
賃金台帳の他に虚偽申告のための台帳を作成していてもおかしくありません。

3) 従業員数について虚偽の申告をしている
この可能性も非常に高いと,わたしはにらんでいます。
友人はハローワーク経由で有限会社Fを紹介されました。
求人票に記載されていた従業員の人数の内訳は「企業全体 3人(うちパート2人) 」です。
それに対して実際の従業員は7人(パートも含む)です。
仮に従業員の数が変わったことに伴う申請が遅れていたとしても,数ヶ月にわたってハローワークの職員が実情を知らないのは不自然です。

ちなみに。。
有限会社FにはO社長の他にO社長と極めて親しい人物Xが就業しています。
そうするともう一人のパート就業者Yとは,いったい何者なんでしょうねぇ。
真相は闇の中ですが,おそらく就業実績のない幽霊社員でしょう。

いずれも状況証拠でしかありません。
総合的に考えると,限りなく黒に近い疑惑であると言えます。
虚偽の申告をしているか,故意の申告漏れでしょう。
とにかく監査が入るとまずい事情があるのは間違いありません。

労災認定を行うのは事業主ではありません。
労災隠しが疑われる場合は,労働基準局に通報しましょう。

次回はO社長の脱税疑惑とそのからくりに関する考察を書きます。

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Tommy Emmanuel

アコギとは思えないテクの持ち主です