2014/05/26

対象a(アー)と症例A(エー)と精神分析学


「あなたの亡骸(なきがら)に土をかける」

そんな印象的な歌詞で始まる「対象a」です。
アニメ「ひぐらしの鳴くころに 解」のエンディングでした。
/* 好き嫌いも別れて賛否両論あるので,アニメの内容は割愛します ^_^;

  

久しぶりにニコニコ動画で聴きました。



儚げなボーカルとジャズ調のゆったりしたリズムが綺麗な曲ですよね。
すっかり気に入ってしまい,iTunes storeでお買い上げしてしまいました (笑)
なんとも。。衝動買いを誘発するおっそろしいシステムですね σ(^◇^;)

ダウンロードしてじっくり聴いてみると,やっぱりいい曲なんです。
ピアノ,ドラムス,ギター,ベース,ストリングスのシンプルな構成です。
厳選された必要な音しか残っていない音の隙間が心地よく,ある意味でTHE ALFEEとは対照的なスタイルですね。

少し調べて分かりましたが,コード進行は複雑です。
専門的な内容はこちらの方のブログが詳しいです↓
anNina / 対象a (ひぐらしのなく頃に EDテーマ)
コード進行で切る!最新J-POP!!最新洋楽!!
http://s.ameblo.jp/ongakuriron/entry-10665799345.html

サビのsus4の使い方は教科書を読んでいる気分になりますね。
AメロとBメロの解説は……よく分かりませんでした σ(^◇^;)
音楽理論は不勉強ですが変態的に凄いのは分かりました (笑)

不思議な心地よさの秘密は,計算し尽くされたコード進行にあるのかもしれません。

歌詞の世界観はアニメそのままです。
すでに確立された物語(原作はPCゲーム)のイメージがあったことで,軸がぶれなかったためでしょう。

少し風変わりな「対象a」というタイトルは「たいしょう・アー」と読みます。
Wikipediaを読むと分かりますが,これは精神分析学の概念です。
難しい言葉ですが,「人の欲動が求める対象」を表すようですね。
歌詞のあちこちに「対象a」のモチーフが散りばめられています。

この精神分析学,疑問を感じる医療関係者もいらっしゃるようです。
わたしは医者ではないので専門的なことは分かりません。
それでも,人の心は統計的に分類できるほど単純なものではない気がするのですよ。
そもそも100人いれば100通りの人生があります。
それを型にはめて考えること自体,ちょっとおこがましいですよね。

これは学生時代に読んだ本です。

  
右側はKindle版です。
対象aの精神分析学を調べていて,思い出しました (笑)

内容を一言で要約すると「ミステリー風味の精神医学小説」です。

境界性人格障害(通称:ボーダー)について初めて知った作品でもあります。
解離性同一性障害(通称:多重人格)についても一般的なイメージに振り回されない描写がされています。
精神分析学に対する疑問提起も興味深いテーマでした。
著者の多島 斗志之(としゆき)さんは綿密な調査を重ねて,この小説を書き上げたのでしょう。

スッと背筋が冷たくなる描写も所々にあり,読み手を選ぶ小説かもしれません。
ラストシーンも尻切れトンボで,少女Aのその後が気になります。
それでも「これでいいのだ」と思える読後感があります。
お勧めです (^_^)ノ

残念なことに,多島さんがご自分の意志で失踪してしまったことを最近になって知りました。
もっといろいろな作品を読みたかったのですが。。


多島斗志之先生 捜索へのご協力のお願い(東京創元社HP)
http://www.tsogen.co.jp/news/2010/07/09123001.html

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