2014/08/27

見えざる病への恐怖とアイス・バケット・チャレンジ

アイス・バケット・チャレンジ,ご存じですか?
いろいろな方が氷水を被っている動画や写真をよく見かけますが,それです (笑)
難病指定されているALSの認知度アップ,および寄付金を増やす面で一定の成果を得たチャレンジと言えるでしょう。
当然ながら,このチャレンジにはさまざまな賛否両論があります。
売名行為である,セレブのおふざけである,難病に苦しむ患者を馬鹿にしている,等々。
このブログをお読みの方は,どのような意見をお持ちでしょうか。

音声はすべて英語ですが,こちらの動画を最後までご覧ください。
最初の2分間は,ただのおふざけ動画のように見えます。
それでも最後まで見ていただくと,彼のメッセージは伝わると思います。
このチャリティについて疑問を感じている人こそ「見るべき動画」です。


この動画を投稿したのはアンソニー(Anthony Carbajal)という26歳の青年です。
三世代にわたってALSを発症している,(この病気にしては)珍しい家系に生まれ育ちました。
途中でALS患者である母親の世話をしている様子が映されています。
4:50辺りの言葉によると,ALSと宣告されているアンソニー自身,既に右手の機能が損なわれ始めていることが分かります。

動画の中でアンソニーは,「(ALS)はクソみたいに怖ろしい」とも「(ALSについて)話すことが大嫌いだ」とも話しています。
目の当たりにしてきた祖母と母親の姿から,自分がどのような過程を経て死へ向かっていくのか,その恐怖をもっとも理解しているのはアンソニー自身です。
決して「おもしろおかしく病気を笑い飛ばそう」という理由で動画を投稿したのではありません。

わたしは全面的にアイスバケットチャレンジに賛同している訳ではありません
注意が向けられるべき対象は,ALS患者だけではないからです。
各地の自然災害や戦災,次第に拡大して被害を増しているエボラ出血熱,未だに治療法が確立されていないAIDS(後天性免疫不全症候群),そのほか見えざる病への恐怖と戦っている人は大勢います。
そのような人々への長期的な支援や配慮こそ,忘れるべきではないのです。

当然ながらチャレンジを受ける,受けないは人それぞれの考えでしょう。
熟考してチャレンジを承諾した場合,その意思を尊重するべきです。
おもしろ半分にチャレンジを行うことはもちろん,苛めのネタにしたり,ジョークとしてでも人に押しつけることは,誰にも許されない行為です。
わたしは,一過性の「お祭り」として捉えられることや,安易な風潮に流されて忘れられてしまうことを懸念しています。

もっとも好ましくない反応は無関心です。
小さな運動を発端に,心の中に小さなさざ波が立てば,それは次第に大きな波になっていきます。
見えざる病の恐怖と戦っている人へ意識が向けられるきっかけとなれば,それは意義のある発想だったのでしょう。

最後に・・・。
わたしが指名されたとしても,氷水は被りません。ご了承ください (^^ゞ


†††
今回のエントリで取り上げた内容に対するWikipediaと出典へのリンクです。

筋萎縮性側索硬化症 - Wikipedia - 
アイス・バケツ・チャレンジ - Wikipedia - 
【氷水】ALS患者がアイスバケツチャレンジをして訴えたかったこと(動画) - 

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