2013/12/28

中小企業の問題点とブラック経営者の脱税疑惑(法律のお勉強)

事前調査で,O社長の別の役職が分かりました。
今回はO社長のもう一つの顔と労働基準法まで踏み込んでいきます。

O社長は有限会社Fが住所を置くS市の商工会議所で役員も務めていたのです。
かつての理事長経験者で現在は幹事という役職です。
商工会議所とは中小企業間の取引を対象にした地域密着型の公益経済団体です。
普通の企業で働いている方にとって商工会議所とは耳慣れない組織かもしれません。
特に地方都市の中小企業や自営業を営んでいる人にとっては商売の要となる団体です。

株式会社Oも規模では中小企業ですから,I市の商工会議所に所属する企業です。
ホームページで事業実績を確認すると様々な公共事業を受注しています。
おそらく商工会議所などを通して事業のあっせんを受けて入札しているのでしょう。

こうやって調べるとO社長の人脈の広さは,
1) 有限会社Fの代表取締役社長としての顔,2) 株式会社Oの常務取締役としての顔,3) 地元商工会議所の幹事としての顔
。。といった三つの顔によるものであることが推察されるわけです。

「やり手のキャリアウーマン」との印象を持たれるかもしれません。
実際のO社長は,ドラ○もんに出てくるジャイ○ンみたいな人ですよ (笑)
Facebookを見ると飲みの写真ばかりで,相当タフな方のようです。
豪傑」という言葉がぴったりです。
まぁ,そうでもないと三種類の顔を使い分けることなんてできないでしょう。

友人が勤務した初日から様々なことが判明してきました。
勤務シフトは壁に貼ってあるのみ(コピーは厳禁とのこと)
勤怠管理はO社長のメモを店舗設置のパソコンに入力する (パソコンはO社長専用)
就業に伴う契約書を取り交わさないまま「口約束で問題なし」と明言する
給与明細も作成せず,バイトさんは自分の時給を知らない
。。など,勤務形態に関することだけを書き上げるだけでもこんな感じです。

ここまで初日で判明したので,友人に三つのアドバイスをしました。
1) シフト表をこっそり携帯のカメラで記録しておくこと
2) 実際に勤務した時間をメモ帳に記録しておくこと
3) 常にiPod touchを携帯して音声の記録を取ること (わたしのお古です。笑)
とにかく自分を守るための記録は大切です。

長年勤務している社員さんも給与明細を6年の間に4通しか受け取っていません。
株式会社の常務取締役と商工会議所の幹事を務めている人物とは思えません。
つーか,あり得ません。
この点を指摘すると不機嫌になり声を荒げるらしいので,自覚はあるのでしょう (笑)
まぁ,強く指摘する社員さんは皆無の状態ですよ。

これは法律違反ではないのです。
しかしながら雇用者としての義務を放棄し労働者の権利を無視するに等しい行為なのです。

少しだけ法律のお話です。

1) 勤怠管理について
労働基準法109条に基づいて,雇用者は被雇用者の勤怠管理を行う義務があります。
具体的には労働日数と労働時間を含む賃金台帳を最低3年間は保存する義務です。

2) 給与計算書について
雇用者が給与明細を作成して交付する義務は明文化されていません
しかしながら労働者は保険料控除に関する計算書を請求する権利があります
そして雇用者は法令上,計算書の提出を拒否することはできません

以下,そのからくりの根拠です。
労働基準法24条第1項によると雇用者は賃金の全額を労働者に支払う義務があります。
同時に各種控除(所得税,健康保険料,厚生年金,労働保険料)を支払う権利を許可されています。
関連する法律は所得税法,健康保険法,厚生年金保険法,労働保険料徴収法です。
それぞれの法律によると,雇用者は労働者に控除額を通知する義務があります。
ただし所得税は源泉徴収票があるので除外されますよ。

つまり。。
給与からの控除が発生する場合労働者は各種保険料の控除額を知る権利があるのです。
そのための手段が保険料控除に関する計算書というわけです。

端的には正社員すべて計算書を請求する権利を持っています。
労働者として,自分の権利を正しく理解しておくのはとても大切ですね。

次回,O社長のブラック経営者っぷりを追求していきます。

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