前回に引き続き,Q&A形式で書いていこうと思います。 → 前回のエントリを読む
まず,個人情報とは何かを明確にしましょう
個人情報とは「生存する個人に関する情報であって、…氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」です。
上記以外に「他の情報と容易に照合…でき、それにより特定の個人を識別することができる(もの)」も個人情報に含まれます。
ですから住所氏名や年齢をはじめ,学生番号も他の情報と組み合わさると個人情報となり得るものです。取り扱いには注意しましょうね。
/* 今回の事件について,情報が流出した母子が顔出し名前(年齢付き)で某国営放送のインタビューでコメントを述べていたようです
/* 自分から個人情報を流出するような愚行を犯さないようにしましょう
出典
やさしく読む「個人情報保護法」(1):「個人情報」とは何でしょうか (1/3) -
@IT -
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0503/18/news121.html
個人名簿が売買されるようになった背景はなんですか?(2005年以前の名簿作成方法)
かつて名簿の情報源は,自治体が公開している住民基本台帳でした。
当のベネッセも同じ手法で子どもがいる家庭の情報を収集して,新顧客を開拓する情報源としていたようです。
しかし2005年4月1日,個人情報保護法が施行されたことによって,業者による住民基本台帳の閲覧が難しくなりました。
そこで登場したのが,B社やP社のような個人情報取扱事業者(ここでは名簿業者と呼びます)だと考えています。
表向きはマーケティング用データとして販売されていますが,名簿という商品そのものが限りなく黒に近いグレーゾーンに位置するものでしょう。
どんな個人情報が売買されているんでしょうか?
一例として,今回の件で報道に上がっていたP社がWebPageで公開している情報のキャプチャを何枚かアップします。
年度別の生徒データベース(おそらく保護者の情報付き)です。
個人・法人の車所有者,趣味の情報データベースまであるとは驚きです。(さすがに音楽愛好家データベースはありませんね。笑)
具体的かつ詳細な情報が,知らないところで取引されていると考えた方が良いでしょう。
こんなのは氷山の一角で,インターネットで情報を販売している会社さんは多数あります。
年度別の生徒データベースが2004年度で途切れていることに注目してください。
個人情報保護法の問題で,表だって掲載できないからでしょう。
名簿業者はあまり表だって広告を出すような会社ではありませんでしたが,前々から存在は噂されていました。
「学校の卒業アルバムが高く取引されているらしい」程度の噂です。
しかし,今回流出した情報は2005年度以降に産まれた子どもたちの情報も含まれているでしょう。(わたしは現物を目にしていないので分かりませんが)
ほぼ間違いなく,ネット販売できない「裏名簿」もあると考えています。
個人情報が流出することで,どんなリスクがあるんでしょうか?
入手経路は様々でしょうが,間違いなく名簿業者は存在します。
そしてその気になれば,誰でも(個人でも)購入できてしまうことの方が問題なのです。
さらに,今回の件で表だって公表されたことをきっかけに,Winnyを始めとしたP2Pのファイル共有ネットワークにも流出する可能性はかなり高いと思っています。
対価を支払うことなく,不特定多数の人物が名簿を目にすることでしょう。
ベネッセがどれだけ努力しても,流出の歯止めは効きません。
事の深刻さが分からない方のために,具体的な例を書きましょう。
フルネームと学校の卒業年月日が分かれば,自宅住所や電話番号(場合によっては家族構成まで)が分かる可能性があるのです。
家族の名前から逆引きすることによって,両親の勤務先や役職,場合によっては嗜好まで分かってしまいます。
こんな名簿がストーカーの手に渡ったら……怖いことだと思いませんか?
少し長くなってしまったので今日はこの辺で終わります。
しばらく報道を追いかけていたら,どうやら風向きがベネッセに向いてきたようですね。
そのうち,まとめエントリを書くかもしれません (笑)
→ 容疑者が特定されたことを受けて,書きました (読んでみる)
†††
おまけ: ベネッセさん,かなりグレーゾーンですよ
下の画像は,前回の記事で名前を挙げたN社のWebPage上で公開されているPDFの一部です。
「2009年に開発に取り組んだのが」…っていうことは,個人情報保護法の施行から数えて,少なくとも空白の4年間があったということです。
その間の情報は,いったいどのような手段を使って集めたんでしょうねぇ。。。 σ(^◇^;)
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